大人が恋に恋したっていい 『好きになるその瞬間を。 ~告白実行委員会~』

『好きになるその瞬間を。 ~告白実行委員会~』の話をします。
といっても、すでに良エントリが量産されているので何を書くのかという話もあるのですが。



私もひくらさんと同じで、

前作の時は正直面白くないけどもそれ以外の価値観を壊されたのと

『好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~』について書かねば - その日くらい良いじゃない

なんですよ。
だって自分が「なんか普通に深夜でやってそうなちょっと止めの作画が良さげぐらいのレベルのアニメを劇場で見てるんだろう」ってテンションでいたら、横にいるJC,JKがガチでシクシク泣き出すんですよ。
そこで「これだから若いやつは」って言っちゃえば楽だったんですが、かつて自分がそう言われて「おっさんおばさんこれだから……」って本気でムカついてたの思い出して。
せめて理解する努力はしてみようかなって思って、自分的に楽しむポイントを切り替えて見たらなんとか乗れました。

なので今回もそれぐらいの「がんばって乗りますか」という気持ちで見に行ったら、思っていた以上に普通に映像作品として気持ちが乗りやすく、かつ思っていたよりも揺さぶられてしまったのでトゥンクしてしまって。

なんで前作と今作でこんなに違うんだろうと思ったんですが、

  • 心情を話す(=主観カメラが置かれる)人がだいたい雛と虎太郎に絞られてて、彼/彼女の心情のトレースがしやすかった
  • TLにいる告白実行委員会勢から「この動画だけは見とけ」と『ハートの気持ち』を薦められて見ていたので「こいつ誰?」がなかった
  • あらかじめ挿入歌を聴いてたのでクライマックスシーンでぐっと高まった

あたりが主要素です。
でも、それだけだとなんか足りないなと思ってて。
そこで公開前に上がってたこの記事が、実は自分の中で大きかったんじゃないかなと。

優役の神谷氏の

この作品って“恋愛の教科書”というか、恋に恋する人たちのお話なんだと思います。つまり、本当の恋愛ではないんですよね。

そう、本当の恋愛ではない。だからこそ美しいし、楽しいし、切ないし、感動する子達がいる。
でもかつて自分もそうだったじゃないかと。なら、またそういう楽しみ方をしてもいいんじゃないかと。そういう作品なんだし。
大人なんだしとか、もうそういうもの卒業したとかの余計なもの取っ払って。大好きな人に大好きと言えないつらさとか、好きって伝えるドキドキとか、そういうのを楽しんでもいいんだと。

でもその幻想って、割と覚めやすいんですよね。年を取れば特に。がんばって自分に「いいんだぞ、そういう見方をしても」って言ってあげなくてはいけない。
ところがこの作品の主演、雛役の麻倉女史の声は、その幻想を後押ししてくれる力があった。自然と雛を応援したくなるような、まさに『みんなの妹』だったし、雛だった。(まぁ他作品への露出があまり多くなく、イメージが付いてないってのも大きいんですが)

そんなこんなで、最後まで恋に恋する人として映画が見られました。
そう、あのEDも胸に切なさを感じられて。

まさか自分がこの曲でここまで来るとはな……

この映画を見ると、瀬戸口雛という恋に恋する女の子の隣にいて、彼女を応援することになります。
その立場にいるのって誰だといったら、クラスメイトなわけですよ。あるいは兄弟姉妹。
ならば、もう我々はJCでありJKなわけです。

恋に恋したい、すべての人に見てもらいたい映画です。